不整脈
不整脈

「動悸がする」「脈が飛ぶ感じがある」「突然心臓がドキドキして、しばらくして治まった」「めまいがして倒れそうになった」——こうした症状は、不整脈のサインである可能性があります。
不整脈とは、心臓の拍動のリズムが乱れた状態の総称です。健康な方にも起こる軽微なものから、命に関わる緊急性の高いものまで、非常に多くの種類があります。「たまに脈が飛ぶだけだから大丈夫」と放置せず、一度専門的な検査で確認することをおすすめします。
また、不整脈と睡眠時無呼吸症候群は密接な関係があることが知られています。「いびきがひどい」「日中に強い眠気がある」という方も、あわせてご相談ください。
心臓は、1日に約10万回、休むことなく規則正しく拍動を繰り返しています。この規則的なリズムを生み出しているのが「電気刺激」です。「洞結節(どうけっせつ)」と呼ばれる小さな組織から電気信号が発生し、心房から心室へと順番に伝わることで、心臓全体が協調して収縮・拡張します。
不整脈とは、この電気信号の発生や伝導に何らかの乱れが生じ、心拍数やリズムが正常でなくなった状態の総称です。
最もよく見られる不整脈で、通常のリズムの中に「余分な収縮」が混じる状態です。「胸がドキッとする」「脈が飛ぶ」と感じる方が多く、健康な方にも多くみられます。健康な方にも起こり得るもので、必ずしも治療が必要なわけではありませんが、頻度が高い場合や心機能が低下している場合は精査、治療が必要です。
心臓の上の部屋(心房)が異常に速く不規則に震え、電気信号が下の部屋(心室)に伝わることで、脈拍が速くかつ不規則になります。
日本における最も頻度の高い不整脈のひとつで、加齢とともに増加します。高齢化に伴い今後、日本では100万人以上(100人に1人)が罹患すると言われています。動悸・息切れ・胸の不快感が主な症状ですが、自覚症状がほとんどない方もいます。
心房細動が引き起こす問題として脳梗塞(心原性脳塞栓症)があります。心房内の血液がよどんで血栓が形成され、それが脳の血管に流れ込むことで起こります。心房細動に伴う脳梗塞は重症化しやすいとされているため、抗凝固療法(血液をサラサラにする治療)による予防が重要です。
心室から発生する危険な頻脈性不整脈です。心室細動では心臓がポンプ機能を失い、放置すれば数分以内に心停止に至ります。AED(自動体外式除細動器)の対象となる緊急状態です。基礎心疾患(心筋梗塞後の心筋障害、心筋症など)を持つ患者さんでリスクが高まります。
心臓の電気信号を作る機能や伝導が障害されることで起こる徐脈性不整脈です。高度な徐脈になると、失神・転倒・心不全を引き起こすことがあります。ペースメーカーの適応となる場合があります。
近年、循環器領域で特に注目されているのが、睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)と不整脈の深い関連性です。
睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に気道が塞がれ、呼吸が繰り返し止まる病気です。「大きないびきをかく」「夜中に何度も目が覚める」「朝起きたときに頭が重い」「日中に強い眠気がある」といった症状が典型ですが、患者さん本人が気づいていないケースも多く、家族や同居者の指摘で発覚することも少なくありません。睡眠中に呼吸が止まると、体内の酸素濃度が急激に低下し心臓に直接ストレスを与えます。
睡眠時無呼吸症候群の患者さんは、そうでない方に比べて心房細動の発症リスクが2〜4倍高いとされており、また一度治療した心房細動が再発しやすいことも知られています。
さらに、就寝中に突然の心停止や重篤な不整脈が起きる「夜間突然死」との関連も指摘されており、睡眠時無呼吸症候群を単なる「眠りの問題」として軽視することはできません。
心電図
心臓の電気的活動を記録する基本的な検査です。不整脈の種類・心筋への影響などを確認します。
ホルター心電図
小型の記録装置を携帯しながら24時間以上、最長1週間心電図を記録する検査です。受診時には現れない発作性の不整脈や、夜間・睡眠中の不整脈の評価に特に有効です。「動悸があるが受診時には治まっている」という方に最適な検査です。
心臓超音波検査(心エコー)
不整脈の背景にある心臓の構造的異常(心肥大・弁膜症・心機能低下など)を評価します。
血液検査
甲状腺機能・電解質異常など、不整脈の原因となる全身疾患の有無を確認します。
終夜睡眠ポリグラフ検査
睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合、自宅で行える簡易検査で睡眠中の呼吸状態・血中酸素濃度を確認します。
不整脈の治療は、種類・重症度・症状・基礎疾患に応じて個別に判断します。治療が必要ない不整脈も多くあります。
薬物療法
抗不整脈薬により異常な電気信号を抑制します。心房細動では、脳梗塞予防のための抗凝固薬の服用が重要です。
アブレーション治療(カテーテル焼灼術)
不整脈の原因となっている心臓内の部位をカテーテルで焼灼する根治的な治療です。心房細動・上室性頻拍など多くの頻脈性不整脈で有効性が期待されます。
ペースメーカー・ICD
高度な徐脈性不整脈にはペースメーカー、命に関わる重症不整脈のリスクが高い方にはICD(植込み型除細動器)の植え込みを検討します。これらの処置が必要な場合は、連携医療機関へご紹介します。
「脈が飛ぶ感じ」「ドキッとする」という症状は、健康な方でも日常的に起こりうるもので、多くの場合、命に関わるものではありません。ただし、その頻度が増えてきた、症状が強くなってきた、または心臓の病気がある方では、もう少し詳しく調べる必要がある場合もあります。判断に迷うのであれば、一度心電図をとっておくと安心です。気になるときはお気軽にご相談ください。
「受診時には症状が治まっている」というのは実はよくある状況です。動悸は症状が出ているときに限らず、「24時間ずっと心電図を記録する機器」を使うことで、日常のなかで起きた乱れを後から確認することができます。ご相談いただければ適切な検査を提案させていただきます。
心房細動があると、心臓の中で血のかたまりができやすくなり、それが脳の血管に詰まることで脳梗塞が起こるリスクが高まります。ただし、そのリスクは全員が同じではなく、年齢・血圧・糖尿病の有無・過去に脳梗塞や心不全があるかどうかなど、いくつかの条件を組み合わせて評価します。リスクが高いと判断される場合は、血をサラサラにする薬で脳梗塞を起こす可能性を減らすことができます。怖いからこそ、正確なリスク評価をして、必要な対策をとることが大切です。
不整脈にはさまざまな種類があり、「ほぼ気にしなくてよいもの」から「注意が必要なもの」まで幅があります。多くの場合、症状が安定していれば旅行も運動も問題ありませんが、「運動中に動悸やめまいが起きる」「ふらつきや失神を経験したことがある」という方は、まず一度相談してから活動内容を決めることをお勧めします。「○○をしてもよいか」という具体的な相談も、遠慮なくどうぞ。
実は深く関係しています。いびきの背景にある睡眠時無呼吸症候群(眠っている間に呼吸が繰り返し止まる病気)は、夜間に心臓や血管に大きなストレスをかけ、不整脈——特に心房細動——のリスクを高めることが知られています。「いびき」「日中の強い眠気」「朝起きても疲れがとれない」という方は、心臓のためにも一度検査を受けてみることをお勧めします。自宅で装着できる簡単な検査から始められますので、お気軽にご相談ください。
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