狭心症・心筋梗塞
狭心症・心筋梗塞

「歩いていると胸が締め付けられる感じがする」「休んでいると良くなってくる」「安静にしていても胸の不快感がある」——こうした症状は、狭心症・心筋梗塞のサインである可能性があります。
狭心症と心筋梗塞は、心臓に血液を供給する血管(冠動脈)が狭くなったり詰まったりすることで起こる疾患で、合わせて虚血性心疾患(冠動脈疾患)と呼ばれます。日本における死因の上位を占める重大な疾患であり、特に心筋梗塞は一刻を争う緊急疾患です。
「胸の症状は疲れのせいだろう」と軽く考えず、早期発見・早期治療が命を守ることに直結します。気になる症状がある方は、早めにご受診ください。
心臓は全身に血液を送り出すポンプですが、心臓自身にも酸素・栄養を含む血液が必要です。その血液を心臓の筋肉(心筋)に供給しているのが冠動脈です。冠動脈は心臓の表面を冠のように取り巻く血管で、この血管が動脈硬化などにより狭くなったり(狭心症)、完全に詰まったりする(心筋梗塞)と、心筋への血流が不足し、さまざまな症状が引き起こされます。
冠動脈が動脈硬化などによって狭くなり、心筋への血液供給が一時的に不足する状態が狭心症です。血管が完全には詰まっていないため心筋の壊死は起こりませんが、繰り返す発作は心筋梗塞への移行リスクがあります。
冠動脈が完全に詰まり、心筋への血流が途絶えた状態が心筋梗塞です。血流が途絶えた部分の心筋は壊死していきます。壊死した心筋は元には戻らないため、できるだけ早く血流を再開させることが重要です。非常に重大で致死率の高い病気であり、以前は死亡率25%以上でしたが、近年日本では救急搬送のシステム、カテーテル治療の普及などにより院内死亡率5%以下まで低下しています。早期に治療するほど救える心筋の量が多くなり、その後の心不全発症を防ぐためにも重要です。
狭心症と異なり、安静にしても症状が治まらないのが特徴です。高齢者・糖尿病の方では典型的な胸痛が現れず、息苦しさや強い倦怠感のみで発症する「無痛性心筋梗塞」の場合もあります。
激しい胸痛が続く場合は、すぐに119番に電話してください。自分でクリニックに来院しようとせず、救急車を呼んでください。
最大の原因は動脈硬化です。動脈硬化を進行させる主なリスク因子として以下が挙げられます。
これらのリスク因子が重なるほど、冠動脈疾患を発症する可能性が高まります。
心電図検査
心筋への血流不足(虚血)のパターンや心筋梗塞の痕跡を確認します。安静時心電図に加え、症状によってはホルター心電図(24時間以上の記録)を行う場合もあります。
血液検査
心筋が傷ついた際に放出されるトロポニンなどの心筋逸脱酵素を測定します。心筋梗塞の診断・重症度評価に重要です。
心臓超音波検査(心エコー)
心臓の動きの異常(壁運動異常)を確認します。血流が不足している部位では心筋の動きが悪くなります。
冠動脈CT・冠動脈造影検査
冠動脈の狭窄・閉塞の場所と程度を詳しく評価します。精密検査が必要な場合は、連携医療機関へご紹介します。
薬物療法
薬の治療が基本になります。抗血小板薬(血液サラサラの薬)や血管を拡張する薬、心臓を休めてあげる薬を使用します。またコレステロールの薬などで動脈硬化の進行を抑えることが重要です。すでに心筋梗塞を起こしてしまった場合は心臓を保護する薬が必要になる場合もあります。
カテーテル治療(PCI)
カテーテルとは腕や足の血管から挿入する細い管のことです。カテーテルを冠動脈に引っ掛けて動脈硬化で細くなってしまったり、詰まってしまった血管にワイヤーを通し、バルーンで広げたりステント(金属製の管)を留置し、血流を回復させる治療です。狭心症に対して待機的に行われたり、心筋梗塞の急性期治療として広く行われています。
冠動脈バイパス手術
冠動脈の細くなったり詰まった部分を迂回するために、自分の他の血管を繋ぎ新たな血液の通り道を作る手術です。カテーテル治療より歴史が長く、より重症な患者さんに選択される傾向があります。
一度発症した方はもちろん、リスク因子をお持ちの方も、以下を心がけることが重要です。
「治まったから大丈夫」とは言い切れません。数分で治まる胸の締め付け感は、心臓の血管が一時的に細くなって血流が不足した状態——つまり狭心症の典型的なサインであることがあります。治まったように見えても、血管の中では危険な状態が進行していることがあり、そのまま放置すると心筋梗塞へと発展するリスクがあります。お早めに一度受診してください。
わかりやすい違いは「胸の症状が治まるかどうか」です。狭心症は安静にしていると数分以内に治まることが多いのに対し、心筋梗塞では30分以上経っても治まらず、冷や汗・吐き気・強い不安感を伴うことがよくあります。ただし、この判断を自分でしようとするのは危険です。「いつもと違う」「なかなか治まらない」と感じたときは、すぐに救急車を呼んでください。「大げさかな」と思う必要はありません。
心筋梗塞を一度起こした方は、再発リスクが高い状態にあります。最も重要なのは、処方された薬を決して自己中断しないことです。血をサラサラにする薬や心臓を保護する薬は、症状がなくてもずっと飲み続ける必要があります。そのうえで、禁煙・血圧・コレステロール・血糖のコントロール・適度な運動・定期的な受診を続けることが再発予防の柱になります。
処方されているにもかかわらず、使い方に自信がない方は多いです。ニトログリセリンは、発作が起きたときに舌の下に含む(または口の中にスプレーする)薬で、5分以内に効果が現れることがほとんどです。改善しない場合は、5分あけてもう1回使用できますが、2〜3回使っても治まらない場合は心筋梗塞の可能性があります。すぐに救急車を呼んでください。「薬をなくしてしまった」「期限が切れているかもしれない」という方も、お気軽に相談してください。
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